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防犯、事件、犯罪心理について

【事件現場レポート】葛飾区東新小岩の路上で通り魔事件

葛飾区東新小岩で事件

「新型コロナで収入が減り、イライラしていた」

犯人はこう述べました。

深夜の葛飾区の路上で起きた通り魔事件。犯人である男は女性の背後から首を絞め、殺害しようとした疑いが持たれています。

男は女性の後をつけてチャンスをうかがっていたことが分かっています。何をもってチャンスと感じたのかは、現場の状況を知らなくては推測できません。

今回も事件現場に足を運んでのレポートです。男が「その場所」を選んだ理由が垣間見えてきました。

事件の詳細

日時:2020年7月6日 午前1時頃

場所:葛飾東新小岩の路上

内容

住所不定、職業不詳の男(44)が帰宅中の女性の後を付け、後ろから突然羽交い絞めにし首を絞めた。女性が「誰か助けて」と叫んだところ、男は逃走。しかし付近の防犯カメラに男が後をつける様子が撮影されており、今年1月21日に殺人未遂の容疑で逮捕された。

男は「飲食店でアルバイトをしていたが新型コロナで収入が減り、イライラしていた」「物にあたるようにやってしまった」と供述。女性は首に全治2週間のケガを負った。

事件現場「誰もいない道」

新小岩駅から北東に約700m、総武線の線路沿いの歩道。報道の映像から、↓で示したあたりで起きたと推察されます。

現場上空

実際の光景がこちらです。警視庁は「ひと気のない所を狙って襲ったとみている」模様。その言葉通り、まさにひと気のない場所でした。

事件現場

小岩井駅から進む方向に撮影しています。右手には広い線路が広がっており、見守ってくれる「人の目線」は期待できません。では左手の方向はどうでしょうか。

現場左手

集合住宅がはるか遠くに見え、その手前には無人の運動場が。

運動場がスポーツに興じる人で賑わえば、「人の視線」による犯罪予防に繋がるでしょう。助けも呼べます。しかし事件は深夜1時に起きています。撮影した日も雨天のためか運動場には誰一人いませんでした。

そして夜間の光景はこちら。

夜間の光景

先ほどとは反対向きに撮影していますが、同じ場所です。線路の光と街頭があるのでそれなりの明るさはあります。しかし近くに住宅も店もなく、おまけに歩行者専用の道路で車も通りません。そのため非常時に助けを呼びにくい場所です。

犯人もこの道路の「やりやすさ」を感じ取っていたとみて良いでしょう。

このような状況が約400m近く続きます。今回の事件では被害者が叫んだことにより犯人が逃走しましたが、場合によっては…と考えてしまいます。

防犯カメラで犯人の姿を捉えることができても、それは事件が起きた後のこと。予防という観点からは、ここは誰もいない危険な場所と言わざるを得ません。

犯罪はひと気の途切れた所で起きる

本事件において犯人が女性の後をつけ始めた場所は不明です。ただ、「犯罪はひと気の途切れた場所で起きる」という定説どおりの事件であると言えます。

後をつけ、襲撃する犯人は基本的に人の多い場所で被害者候補を見付けます。例えばコンビニ、飲食店、デパート、駅。これらは人がたくさん集まると同時に、自分も人混みに紛れることが可能です。

もちろん街中には防犯カメラがいたるところに設置されており、尾行や犯行の様子はしっかりと記録されます。人が多い場所なら想像以上にたくさんのカメラが怪しい人物を録画します。

しかし困ったことに、逮捕されるリスクをかえりみずに犯行に及ぶ人間がいるのも事実です。

1人で夜道を歩くときに気をつけること

最後に、1人で夜道を歩くときに気を付けるポイントを5つお伝えします。

「どうしても仕事で帰りが遅くなる」「世間の帰宅時間と合わない」という方は特に抑えていただくと良いでしょう。

①ひと気のない場所は通らない

これが可能なら理想的です。本事件の現場のように見晴らしが良い場所でも、交通量が極端に少なかったり、周囲に助けを求められる場所がない所はなるべく避けてください。公園や駐車場の横は、夜間にはひと気のない場所になりがちです。

②ながら歩きをしない

スマホを見ながら、音楽を聴きながら歩いていると尾行に気づくことができません。「ここはちょっと危ない場所かもしれない」。そう思ったら、イヤホンをとって足音を聞き、周りを見ながら歩きましょう。

③防犯ブザーを携帯する

防犯ブザーは子供だけのものではありません。大人でも、緊急事態に声が出せなくなる可能性は大いにあり得ます。犯人も大きな音には弱いものです。本当は見える位置に吊るして防犯意識を見せつけるのが理想的ではあります。

④背すじを伸ばして早歩きする

ピンと背すじを張って早めに歩くことで、防犯意識を表すことができます。犯人にとっても自然な速度で尾行することが難しくなるかもしれません。

⑤前後20mからは警戒距離

どのくらい近づかれたら不審者なのか、どのくらいの距離から尾行を疑ったほうが良いのか。その答えとして、前後20mを覚えておきましょう。

多くの犯罪者が犯行の準備段階に入るのは、およそ20mと言われています。逆に言えば、20m以上距離を置ければ、犯行のやる気を削ぐ効果も期待できます。

 

本来なら防犯環境の設備で人々を守ることができれば、それに越したことはありません。ただし、どうしても「危険な場所」は街のほころびとして生じてしまいます。そこで自分を守るのは自分自身。自衛の策を身につけて損はないでしょう。

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