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防犯、事件、犯罪心理について

【事件現場レポート】世田谷区南鳥山にて無人の交番を舞台に事件発生

烏山交番通り

ある女性が落し物の届け出に訪れた交番は無人でした。警官は相次ぐ事件のために全員出払っていたといいます。

そこへ男がやってきて、あろうことか交番内で女性に抱きつこうとしました。

「安心して。1回抱きしめたら終わり」

そう男は言ったとされています。

交番という場で起きたこの事件。何か特殊な要因があるのではないかと現場周辺を調べることにしました。以下、事件現場周辺を見回ったレポートとなります。

事件の詳細

日時:2020年11月11日 未明
場所:世田谷区南鳥山 烏山交番

内容
女性が落し物の届け出のため烏山交番を訪れるも、警官は相次ぐ事件の対応で全員外出中。そこへ会社員の男(26)が近づき、「安心して。1回抱きしめたら終わり」などと言い抱きつこうとした。男は強制わいせつ未遂と建造物侵入容疑で逮捕された。

推測

報道では、交番が無人だったのは事件が相次ぎ警官が外出していたためとしています。時間帯は未明や深夜としか報道されていません。未明は気象庁によると午前0時~3時を指します。

その時間帯に事件が相次いだということから次のように推測しました。

  • 付近に深夜も賑わう歓楽街がある
  • 歓楽街で相次いでトラブル発生、交番が無人になる
  • 歓楽街を徘徊していた犯人が女性を発見、後を付ける
  • 女性が入った交番が無人であることを確認し犯行

どう考えても交番内で犯行したことはあまりに非合理ですが、その不可解さを解く鍵を求めて周辺の環境を調べました。

すると、この推測は見当違いである可能性が高いことがわかりました。

事件現場の様子

烏山交番

交番を間近で撮影するのは業務妨害になる可能性があるので、グーグルマップからの引用です。

この烏山交番は交差点の角に位置し、窓ガラスも開放的で周囲をよく見渡せます。筆者が訪れた時も勤務中の警官がよく見えました。いい意味で「非常に見えやすく、見られやすい」環境と言えます。

深夜に交番内で起きていた出来事の一部始終は、通行人さえいれば部屋の明かりと共に非常に目立ったことでしょう。

現場周辺は治安が悪いのか

交番内で事件が起きた原因の1つは警官の不在です。烏山交番の周囲は、それほどまでに治安が悪いのでしょうか?

トラブルが起こりやすい街かそうでないかは、街並みを観察することでいくらか把握することが可能です。少し範囲を広げて、街の景観を見ていくことにしました。

まず烏山交番の正面。街灯の明るい商店街が広がっています。

正面の商店街

京王線千歳烏山を降り、北にあるこの商店街を抜けると交番へたどり着きます。

商店街とはいえ、「夜の街」としての風景ではないように感じます。撮影時刻はおおよそ17時ですが、深夜まで営業しているのはコンビニや大手飲食チェーン店くらいかと思われます。

実際に歩くと、むしろ主婦層やビジネスマンのための整然とした街のような印象を受けました。この通りを見る限りでは、深夜にトラブルが多発する様子は想像しずらいものがあります。

事件が頻発するには人が集まる必要があります。烏山で人が集まりそうな場所を探してみたところ、この商店街を含め3つの通りが候補として挙げられそうです。

3本の通り

①がすでにご覧いただいた商店街。

では②の通りを確認していきましょう。

②の通り

①の商店街より、いくらか深夜も賑わいそうな街並みです。奥には24H営業のカラオケもあり、若者も集まりやすい通りではないでしょうか。

③の通りも、おおむねこの通りと同様の光景です。ただし他と異なるのは、街頭の防犯カメラの数でしょうか。

街頭の防犯カメラ

筆者の観察力が問われてしまいますが、③の通りには道を見るカメラが多いように感じます。理由はわかりません。

ここで取りあげた3つの通り以外は、さらに静かな街のように思えます。駅の南側にも商店街や飲み屋はありますが、街全体として夜に賑わう訳ではなさそうです。

報道のイメージとの食い違い

「深夜に事件が多発し、警官が全員出払ってしまった交番内でさらに事件が起きた」

この報道から治安の悪さを想像した方は少なくないのではないでしょうか。筆者もその1人です。

しかし報道から受けたイメージとは違い、警官が全員出払ってしまうような「トラブルの多い街」としての要素は見つけられませんでした。

もちろん、深夜まで営業している飲食店や遊行施設がない訳ではありません。たまたまそういった施設内で事件が起きれば、街の規模とは関係なしに警官は出動するでしょう。

付け加えるなら、事件が起きるのは店舗とは限りません。家庭内での争いや交通事故など、どんな場所や状況でもトラブルは起こり得ます。

ただ1つ確かめられたのは、「夜の街の治安の悪さから生じた事件」という筆者の推測はおそらく見当違いということでしょうか。

実際に足を運ばなければ、事件分析の入り口にすら立てない。あらためて痛感させられたレポートとなりました。

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