ブラックマーケット調査

美術とマフィア、犯罪学など

事件の終わりはスイートルームで /プエブロ・アート等盗難事件

美術犯罪とホテルの関係は深い。

闇取引には密室が好都合だ。金と盗んだ美術品の交換がそこでは行われる。

 

この定石は、今もなお健在であるらしい。

 

2023年初頭に解決したある事件も、最後の舞台はコロラド州レイクウッドのスイートルームだった。

 

www.cbsnews.com

犯人の男はプエブロ・アートを含む5点の「最高級の」絵を所持していた。もちろん盗品だ。

プエブロとは、メキシコとアメリカの国境近くに住むインディアンやその集落を意味する。彼らの生活風景を描いた絵がプエブロ・アートと呼ばれるそうだ。

絵の取引を持ち掛けられた人物から警察に密告があり、犯人の逮捕に結びついたという。

 

とはいえ密告者は前金として1,000ドル支払っており、途中までは取引に乗り気だったことがうかがえる。

おそらく犯人との交渉で不愉快なことが起きたのだろう。警察の調べに対してこう述べている。

「日頃から1,000ドルを馬鹿げたことに浪費している。正しい事をしたくなっただけで、1,000ドルはどうでもいい」

犯人逮捕の現場がホテルであることから、密告後にも交渉を続け、現物の受け渡し場所を警察に知らせたものと思われる。犯人は何も知らず、ご機嫌で盗品を持ってきたというわけだ。

 

しかしこの犯人を、平凡で冴えない男と呼ぶことはできない。

彼は麻薬、拳銃、電気製品も隠し持っていた。明らかに違法売買を目的としたものだ。

 

アメリカ合衆国司法省によれば、組織犯罪に収益をもたらすものとして大きな順に麻薬、武器、美術品の3つを挙げている。

犯人はひとつの事件で、現在のブラックマーケットの趨勢を巧みに表現していた。

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