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ストーカーは4タイプに分けられる。ストーカー理解への第1歩

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ストーカーに狙われれば日常のあらゆる場面が恐怖に侵されるでしょう。

その恐怖に晒された人々の実体験や犯人の分析から、ストーカーは4タイプに分類できることが明らかとなっています。

アメリカと日本ではやや分類法が異なりますが、ここでは日本版としてアレンジした分類を中心にご紹介します。

①拒絶型ストーカー

断てなかった愛の糸

「もうこの関係は終わりにしよう」―――。

この瞬間に生まれるのが拒絶型ストーカーです。彼(彼女)らが拒絶するのは、関係を切られたという事実。なんとかして関係を保つため、あの手この手で再接近を試みます。

あえて「よりを戻すため」と表現しなかったのは、中には自分を振ったことを後悔させてやるという動機の者もいるためです。拒絶型が望むのは恋愛関係の修復とは限らず、ゆがんだ形であれ関係の保持です。

典型例では「考え直してほしい」「話をしよう」としつこく要求し、被害者を困らせます。家だろうと職場だろうとかまわずメッセージを送り続ける執念は、被害者に恐怖を抱かせるには十分です。

やがて攻撃的態度が表出し、所持物や家の損壊、侮辱や誹謗中傷が目立ちはじめます。もはや愛なのか憎しみなのか本人にすらわからなく、相手と自分とを結びつける関係にすがる心があるだけ。

拒絶型ストーカーは最終的に無理心中や殺人に発展しやすい危険なタイプです。

人格と対処

よく見られるのはナルシスト傾向と過剰な依存。自らの願望、希望や夢、それら全てをある人物との恋愛の中に詰め込んでしまう性質を持ちます。

自分に自信がないことから、交際中も過度な監視や束縛をし続けるのもよく見られる行動です。

この人格が別れ話を切り出されたときに感じるのは絶望感と怒り。仲直りしたいという望みと、自分のプライドをキズつけたことに対する復讐が入り混じった行動を起こします。これが復縁を求めるアプローチから攻撃的なアプローチへと変化していく理由です。

拒絶型に付きまとわれた場合、いかに自分が苦しんでいるか伝えても効果は望めません。それ自体が、元恋人との関係維持になり得るからです。結局、刑事罰をちらつかせてようやく自らの行いを躊躇し始めることになるのが大半でしょう。

社会的支援によって、元恋人以外の他人たちと円滑な交流ができるようにする必要があります。プライドによって肥大化した自己ではなく、等身大の自己をあらためて知覚しなおし、「身の丈に合った」人付き合いが可能になるまでのサポートが望ましいとされています。

しかしそれは容易ではなく、結局は再犯可能性が常に高いタイプです。

②憎悪型ストーカー

知らぬ間に踏んだ地雷

憎悪型ストーカーは文字通り、憎しみと復讐に生きるストーカー。その行動は「血の復讐」と言われることも。必ずしも恋愛関係から生じるものではなく、ありふれた日常の1コマから生じることもあるのが恐ろしいところ。元々は無関係の人がターゲットとなることも珍しくありません。

例えば就職に失敗しうなだれる男性の肩にぶつかって行った女性。客からのプライベートな誘いを断った店員。患者を救いきれなかった医師。このような人々がターゲットとなります。

激しい誹謗中傷や脅迫を電話や手紙などでぶつけ続けるのが憎悪型のやり方。相手が打ちのめされるまで、徹底的に叩き続けます。しかし意外にも、直接的な暴力行為に走ることは比較的少ないと言われています。それは憎悪型が常に「安全圏からの攻撃」を意識している表れです。

人格と対処

憎悪型は普段から鬱屈した感情を持っていることがほとんど。有名なクレーマーとして知られていることもあります。自分よりも強い力を持つ企業やシステムに対する怒りを抱えており、そのため脅迫行為を注意されても「相手が悪いのだ」とむしろ被害者を装う傾向があります。

ターゲットとして選ばれた人物そのものが本当に憎いのかと言えば、深層心理ではそうではないでしょう。漠然と抱えていた不満を発散するため、偶然のきっかけで選ばれてしまった人物がターゲットとなります。

とはいえ選ばれた人は強烈な攻撃にさらされることとなります。ストーカー側はあくまで「私は被害者だ」とまるで正義の側にいるかのように振舞うため、話し合いでの解決は期待できません。

憎悪型に対しては、反応しないことがまず推奨される対処法です。苦しんでいる姿が見えなければストレスの発散にはならないため、別のターゲットへと対象を移行させる場合もあります。

深刻な被害妄想にとらわれているケースでなければ、冷静に損得勘定ができるタイプでもあり、法的制裁をちらつかせるとあっさり身を引くことも。

ただし恋愛感情が起点ではないことにより、ストーカー規制法が適用できない場合もあるのが注意点です。

③親密希求型ストーカー

あなたは「運命の人」

親密希求型は、軽度から重度の妄想性障害を持っていることが非常に多いタイプ。親しくもないのに勝手に理想像を作り、「2人が分かりあった末には、最高のロマンティックな結末が待っている」と偏執的な期待を抱きます。

そもそも妄想的なため、面と向かって「あなたのことは好きじゃない」と否定しても効果がありません。その言葉をストーカーは「本心ではないことをなぜ言うのだろうか」と受け止めます。しつこさは全ストーカー中でも随一で、ストーキングをやめさせることは非常に困難です。

会ったことのない有名人を付け狙う「スターストーカー」が最も典型的な例。見知らぬ相手からの熱烈なアプローチは被害者を恐怖に陥れます。ロマンを抱くタイプではありますが、攻撃性がない訳ではありません。アプローチを断り続けていると危害を加えてくる可能性も十分にあります。

人格と対処

基本的に妄想性障害に基づいているため対処は困難。法的制裁やあらゆる拒絶は、愛を試すための試練と変換されるでしょう。親密希求型の多くは内向的でシャイな性格ではありますが、時には暴力的になり得ます。

特に注意すべきは家族や恋人などの第三者に助けを求める事。すでに出来上がった2人の関係を邪魔する者として、排除の対象となります。

親密希求型の多くは医学的対処を要します。

④一方的な求愛ストーカー

恋愛への本質的なずれ

一方的な求愛ストーカーは恋愛関係を構築するのに必要なスキル、知識、そして思いやりが決定的に貧困。求愛行動のほとんどは自分勝手で的外れ。ある意味「騎士道精神」と比喩できるほどの社会通念への無関心さが特徴です。

どんな場面でも愛の告白にはそれなりのTPOが要求されるもの。それらに対する極度の鈍感さ、無神経さによって当然告白は拒否されます。

しゃれた若者が集まるクラブで突然求愛する場違いな服装の中年、ミステリー小説や猟奇小説で犯人が被害者を誘い出した方法を模倣する者。それだけならまだ無害ではありますが、断られてもしつこく付きまとい続けることでストーカーとしてみなされます。中には激高して暴力に訴える者も。

人格と対処

一方的な求愛ストーカーには下位分類が考えられており、それぞれ人格がやや異なります。

・暴力的人格

もとより暴力的で、自分勝手な考えを持つ者。アプローチを断ると激高し、暴力的手段に訴えます。大抵の場合は他の場面でも暴力犯としての逮捕歴がある等、問題行為が絶えない人格です。

・未熟な人格

恋愛のアプローチが下手な人格。TPOに対する認識が欠けており、それでいてあまりに一途で相手を困らせてしまいます。脅迫や暴力に訴えることは少なく、多くの場合は警官による警告で考えを改め直す人格です。

補足:略奪型ストーカー

性欲の昂りの果てに

日本では見られにくいタイプ。補足として取り扱います。

ターゲットに性欲をぶつけるために、あらゆる方法で接近します。ストーキング行為自体が性欲の対象(わいせつな電話や下着泥棒)のパターンと、最終的にターゲットを「襲撃」することを目的としてストーキングするパターンがあります。その性欲は倒錯していることも珍しくありません。

人格と対処

他の性犯罪者と同様に対人スキルが未熟である場合が非常に多いとされています。「女性は乱暴されたがっている」とゆがんだ認知を持つことも多く、ストーカー特有というよりも性犯罪者共通の人格を持ちます。認知を更生させるプログラムは必須でしょう。

ストーキング期間は基本的に3週間程度とやや短く、直接の接触や下着泥棒などの犯罪行為によって逮捕されて終わりを迎えます。中には直接の対面によってむしろ恐怖や怯えを感じ、自分の考えをあらためる者もいるようですがそれを期待するのは危険です。

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