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防犯、事件、犯罪心理について

順天堂医師はなぜ10年も盗撮を繰り返したのか?その犯罪心理とは

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路上で女子高生のスカート内を盗撮―――そんな罪を犯したのは順天堂大学の医師でした。彼は「10年以上前から続けていた」「やめられなかった」と供述しています。

多くの人が思ったであろう、「なぜ立派な人が?」

ここでは盗撮事件の心理面に注目して、少しでも謎を解き明かしていこうと思います。

容疑者の手口

容疑者は信号待ちをしていた女子高校生のスカートの中を盗撮していました。靴に小型カメラを仕込み、真下から撮影していたとされています。

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画像引用:FNNプライムオンライン

この行為を不自然に思った人が通報し、駆けつけた警官にカメラを見つけられ逮捕。スマホからは盗撮したとみられる画像が複数見つかりました。

容疑者は順天堂大学の医師。日本の神経学会をリードしている第一人者とも言われる人物です。彼は「10年以上前から続けていた」「やめられなかった」と供述しています。

盗撮犯の心理

「女性が気づいていない」「犯罪行為をしているというスリル」という要素が、盗撮犯とっての魅力であるというのが定説です。

盗撮癖を持つ人は性的欲求が平均以上で、暴力を伴わないにしても性欲に基づく活動が盛んな傾向があります。その性質により通常のポルノでは満足できなくなり、盗撮のような性的逸脱に走るのが典型例でしょう。

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犯罪へエスカレートするイメージ。多くの性犯罪はこのような段階を踏む

また、ネット上に盗撮動画があることも盗撮犯を生む原因の1つ。

偶然または探索の結果、そのような動画にたどり着くことも十分に考えられます。その動画によって受けた欲求はエスカレートし、「自分でもっと好みの動画を作りたい」と犯罪行動へ走らせることになり得るのです。

ここに、一般人でもどんなに賢い人でも盗撮犯となり得る落とし穴が存在します。

盗撮犯特有の心理が10年の犯行を可能にした?

多くの性犯罪者には認知のゆがみがあるというのは有名な話です。「女性は消費するもの」「暴力的なことをされたがっている」という敵意にも似た認知が定着したケースが少なくありません。

ただし、多くの盗撮犯にはそのようなゆがみが無いとされています。

敵意が少ないゆえか、女性への暴力的な性向は少なく表面的には紳士的であることも。本事件の犯人も素行は良かったのではないかと推測できます。それが裏の顔を巧妙に隠し、犯行を10年続けることができた理由ともなるでしょう。

盗撮動画の闇マーケット

盗撮犯を生む原因の1つが、ネット上に存在する盗撮動画。前述したように、ネット上の動画から刺激を受けて犯行に及ぶ可能性があります。

性的欲求はより強い刺激を求めます。シリアルキラーの犯行がエスカレートしていくのと同様に、もっと自分好みの動画を手に入れようと実際の行動に走らせるでしょう。

時々ニュースで報道されるように、盗撮動画は高値で売買されることもあります。1年で800万円近く利益を出す例もあり、その市場は想像以上に大きいと推察できます。

水面下で広がる盗撮愛好者同士のネットワークは、より「良質」な動画、より高値で売れる動画を求め合い、犯罪の温床となる危険が十分に存在します。本来であれば自らの盗撮癖に気づかなかったはずの人間も巻き込み、拡大していく恐れもあるでしょう。

盗撮とアディクション嗜癖

盗撮は立派な犯罪行為であると同時に、ストレスからの逃避としてのアディクション嗜癖)でもあるという見方があります。これは加害者側の更生を踏まえて、非難するだけではなく寄り添った姿勢の1つと言えるでしょう。

ただしこれは慎重に考えなくてはいけない問題です。

盗撮を「やめられなかった」と述べる容疑者。社会的に重大な責任を負う本事件の容疑者の盗撮癖を、仮にストレス逃避としてのアディクションとするとどうなるでしょうか。

基本的に罰則よりは治療を優先することとなり、責任の一端を「病気」に転嫁することにも繋がり得ます。

罪と人とを分離して、冷静に類似事件の予防に活かす視点は必要なことです。しかし明らかな被害者が存在する盗撮事件において、アディクションを理由に犯人の有責性を軽減させることには最大限に慎重を期すべき事柄であると考えます。

とはいえこの点については、司法や更生の現場を知らない私が言及すべきではないのかもしれません。

最後に

本事件の容疑者について、というより盗撮犯の一般論に終始してしまった感があります。しかし性的な犯行は驚くほど共通の動機や心理を持つとも言われます。おそらく、本事件の容疑者についても全くの的外れという訳ではないでしょう。

盗撮犯自体も危険ですが、さらに危険なのはネット上の盗撮動画やその闇マーケット。潜在的な盗撮犯を実行に駆り立てる心理的要因がそこにあります。

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